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私たちがやったこと

【book/comic】

私たちがやったこと (新潮文庫)

レベッカ ブラウン / 新潮社

スコア:




からだの贈り物の作者の短編集。
とにかく、その表題作がとても印象的な短編集でした。


私たち、
というか


彼女たちがやったこと。


こんな究極があるのかと驚きつつ、
そんな選択もある意味自然な考えなのだと思う私がいました。
不思議な説得力。


お互いに依存しなくては生活すらままならない、
そんな選択をした2人の物語。


はっきりいって、
行き過ぎていている。
人の思いの強さに感動というより
むしろ恐怖を感じるほど。


それでも彼女たちは彼女たちなりの幸せを見出している。
とても自然な選択だったのだと思う。


そう思わせるこの発想、作者の繊細さ。


やっぱりあの「からだの贈り物」の原点は
こうゆうところにあるんだろうな。


レベッカ・ブラウンの
「若かった日々」でもまた、
彼女の原点を感じたんですがそれはまた。
# by kayomz21 | 2011-05-09 09:08 | book/comic

いちばんここに似合う人

【book/comic】

いちばんここに似合う人 (新潮クレスト・ブックス)

ミランダ・ジュライ / 新潮社

スコア:



異常ではないけれど、
少し風変わりで行き過ぎた人たちの物語が詰まっています。

風変わりで行き過ぎてしまっている物語って、
何故だか余計に切なかったり、悲しかったりしませんか?

自分が風変わりであることに気付くことなく、
自分が行き過ぎていることを教えてくれる人もいない。
教えてくれる人がいたとして、
認めたり受け入れたりすることが難しい頑固さを持っている。

そんな不器用さが伝わってくるからかもしれません。

でもね、どの物語も悲しい結末や描き方はされていません。
そこがすごく好感度が高くて好き。

決して理解できる物語ではないけど、
一生懸命さや必死さや一途さが
少し風変わりな行動や言動を引き起こしているのであれば、
もしかしたら
自分の物語がこの中に1篇位混じっているかもしれない。

そんな作品。


先日観た「ミスにんじん」という作品にも似たものを感じたんですが、
それはまた。
# by kayomz21 | 2011-05-08 00:33 | book/comic

ONCE~ダブリンの街角で

【movie/dvd】

ONCE ダブリンの街角で デラックス版 [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

スコア:



素敵な映画でした。

人一倍思い入れがあることを差し引きしても、
本当に素敵な作品でした。

一瞬、映画なのか、
それともあるアーティストのドキュメンタリー番組を観ているのか、
錯覚するような、そんなシンプルな作品。

ストリートミュージシャンである彼と
チェコからの移民の女性とが
ダブリンの街角で出逢い、
静かに心を通わせていく物語。

この映画は何といっても音楽が重要で、
2人の言葉にできない背景が
すべてそこに詰まっているといっても過言ではないと思います。

こうして文字で書き連ねたところで
その魅力が全くといっていいほど伝わらない。
残念なことですが…

ビフォアサンライズや
ビフォアサンセットのような作品が好きな人は
是非見て欲しいです。

ヨンソ好きなあなたへ
# by kayomz21 | 2011-05-07 23:59 | movie/dvd

わたしを離さないで

【movie】

わたしを離さないで

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監督:マーク・ロマネク
キャスト:キャリー・マリガン
      アンドリュー・ガーフィールド
      キーラ・ナイトレイ
      シャーロット・ランブリング


やっと観に行けました。



ただただ、小説の世界がそのまま広がっていました。


観終わった時のあの感じ。
初めて小説を読んだときと(きっと)同じ感じだったと思います。

静かで
穏やかで
涙が溢れそうで溢れない、
むしろ、
軽々しく涙を流すことはしたくない、


そんな感じ。


この作品は本当に不思議で、
ジャンル分けされるとしたら、
一体どのジャンルに区別されるのでしょうか?


物語の設定と展開や訴求があまりにアンバランスに思うのに、
広がる霧がかった美しい風景と
謙虚なストーリーが
そのアンバランスさをとても自然に見せてしまっているような。。。


とにかく、
とてもよかったです。


キャストも本当にぴったりでした。
キャリー・マリガンの演技も秀逸で、
(わたしが考える)小説の行間まで、
とても丁寧に演じているように思いました。


小説の世界が好きな人も
きっと気に入るんじゃないかな?
# by kayomz21 | 2011-04-24 23:51 | movie/dvd

心の緊張、解いてみませんか?

【book/comic】


すごい久しぶりです。
こんな時勢にこうして書くのも何かと思うんですが。



こういう時だからこそ。



実は今日から自宅待機を命じられています。
そして、朝から読書をしていました。


どうしてもテレビをずっと観る気持ちになれなくて。


テレビって少し怖くないですか?


自分で得たいと思うトピックだけでなく、
テレビがついている限りは、
さまざまな情報が否が応にも入ってくる。


もちろん、
必要な情報や知りたい情報も沢山あるけれど、、、


見続けていると、
何か煽られるような
そんな気持ちになる。


でも、
そんな気持ちをほっこりさせてくれたのがこの作品です。


友人に勧められ、
貸してもらって3週間…


何となく気持ちが乗らず、
他の作品に手を出したりしていたんですが。


阪急電車 (幻冬舎文庫)

有川 浩 / 幻冬舎

スコア:



もう、読んだことがある方も沢山いると思います。
何せもう文庫化されていて、
映画化もされるみたいですね。

少し前にドラマが大ヒットした
「フリーター、家を買う」の原作者、
有川浩さんの作品です。

些細な日常に中にある「気づき」が
じんわりと人から人へ伝播していく様子が
とてもわかりやすい文章で
とても簡潔に
そしてとても温かく
描かれていました。

きっと日常にありふれていて
でも中々気づけないような、
でも些細な気づきを持つことから始まる物語に
思わず何度も目頭をおさえました。

もしかしたら、
今だからスッと入ってきたのかもしれないけれど、
それも出逢い。

でもね、
色んなことを差し引きしても、
決して綺麗に描かれすぎていることがなく、
とても好感がもてる、
そんな作品です。


今、心が緊張している人。
今、不安感に襲われている人。
何だか落ち着かない時間を過ごしている人。


そんな人達にお勧めしたいな。。。



人が人に与える力は何にも代えられないものがあると、
改めて、
優しく温かく教えてもらった気持ち。


家に居ながら、
日向の縁側で読書をしているような気分で読了。



# by kayomz21 | 2011-03-16 19:56 | book/comic